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地方裁判所による判決の遵守と、特許不実施主体(NPE)に対抗する手段とを促す、弁護士費用の敗訴当事者払いに関する基準の緩和を命じる最高裁判所による判決

4月29日、米国最高裁判所は、Octane Fitness, LLC v. ICON Health and Fitness, Inc. 事件の判決とHighmark Inc. v. Allcare Health Management System, Inc.事件の判決を出しました。これらの判決により、地方裁判所には、特許訴訟における弁護士費用の敗訴当事者払いの裁定について更に柔軟性が与えられることになりました。次のリンクをクリックされますと、これらの判決のコピーをご覧になることができます:  Octane Fitness DecisionHighmark Decision

Octane Fitness事件では、Octaneは、正式事実審理なしの判決(summary judgment)で非侵害であるとされました。また、その後、例外的な場合として、35 U.S.C. §285に基づき弁護士費用が敗訴当事者払いとなるように申し立てを提出しました。地方裁判所は、Brooks Furniture Mfg., Inc. v. Dutailer Int’l, Inc.事件において連邦巡回が設定した基準を適用して、Octaneが(a) ICONの侵害主張が軽薄である、もしくは客観的に根拠がない、もしくは(b) ICONが主観的な誠意のない行動をなしたと証明していないとしました。上訴では、連邦巡回は、地方裁判所の判決を確認し、Octaneから依頼があった「例外の基準の再検討」を拒絶しました。

最高裁判所は、(a) Brooks Furniture事件に記載された連邦巡回の基準を「過度に柔軟性に欠けるもの」として拒絶し、(b) 地方裁判所が事件を例外であるとし、弁護士費用を敗訴当事者払いとするかどうかを評価する新規テストを採用しました。最高裁判所は、「「例外的な場合」とは、(法律と事件事実の両方を検討をした際)当事者が訴訟において主張している立場の実質的な強さ、もしくは訴訟対象事件の理不尽な状況を考慮する際、他の事件と比べて目立つというだけである」としました。また、同裁判所は、地方裁判所の裁判官の裁量に基づき、この判断が一件一件慎重に行われるべきであるとしました。また、最高裁判所は、§285では「特定の証拠提出の責任が当事者に課せられていない」として、「明白かつ確信を抱くに足る証拠」(clear and convincing evidence)により、勝訴当事者に対して敗訴当事者から弁護士費用が支払われるべきであることを証明する必要がないとしました。

Highmark事件では、地方裁判所は、正式事実審理なしの判決(summary judgment)でHighmarkが非侵害であるとし、本件が例外的なものであるとし、約470万ドルの弁護士費用、209,000ドルの経費、375,000ドルの専門家関連費用がHighmarkに支払われるように判決を出しました。連邦巡回は、地方裁判所の判決を一部覆し、またその際にde novo 検討基準を使用しました。最高裁判所は、Octane Fitness事件の判決の分析を適用し、地方裁判所の「裁量により、事件が§285に基づき「例外的」であるかどうか決められるべきである」とし、この点について地方裁判所の認定は、上訴段階での決定を遵守すべきであり、裁量の乱用ではないか検討されるべきであるとして、連邦巡回の判決を覆しました。

Octane Fitness事件とHighmark事件における最高裁判所の判決を通して、(a) パテントトロールに対する、(b) 特許不実施主体(NPE)により提起された根拠のない訴訟における弁護士費用の敗訴当事者払いを地方裁判所が命じることができる能力に対する、今後の影響に注目すべきであるというものの、最高裁判所が採用した新しい基準は、特許における全訴訟に影響を与えます。地方裁判所の裁判官には、以前より、柔軟性がかなりあり、適切な際に例外的な場合とし、弁護士費用の敗訴当事者払いを命じることができるはずです。特に、特許所有者は、被疑侵害者にとって有利な判決が出された場合、疑わしいとみなされる可能性がある主張の提示もしくは維持を注意深く検討すべきです。あるいは最も重要なことは、現在、被疑侵害者には非常に顕著な対抗手段があるということです。すなわち、弁護士費用の支払いの要求という真の脅しは、パテントトロールと他者により提起された根拠のない訴訟に勝利をみることができるということです。

 

骨粗鬆症治療の自明性に関する連邦巡回により確認された判決

連邦巡回は、2対1の判決において、正式事実審理なしでの判決(summary judgment)を確認しました。この判決とは、イバンドロネートを毎月150 mg経口投与することによる骨粗鬆症治療の方法が自明であるというものです。Hoffman-La Roche, Inc. v. Apotex Inc.事件とは、製薬メーカーのロシュが、簡略化新薬承認申請(ANDA)を提出したジェネリック医薬品会社5社を相手取り提訴したものです。Oliff PLCは、ジェネリック医薬品会社の1社であるOrchid Chemicalの代理人を勤めました。

連邦巡回の多数派の意見では、数件の先行技術文献において、イバンドロネートを毎月経口投与することによる治療が開示されているとありました。全服用量の概念を開示するRiisの論文の観点から、毎日5 mgもしくは毎週35 mgである先行技術服用量の1ヶ月分を調べてみると、150 mgという服用量が事実上開示されていました。この全服用量の概念とは、イバンドロネートの骨形成の効果は、個別の服用量もしくは個別の服用頻度ではなく、所定の時間間隔の累積的な服用によるものでありました。 

連邦巡回は、Orchidが雇用した専門家であるJohn Yates博士による証言に依拠して、当業者であるならば、150 mgの服用量が安全であるかどうか懸念を抱くというロシュの主張を拒絶しました。

また、ロシュの予期せぬ結果についての主張は、被告の先行技術が示す「一見したところの自明性の証拠」(prima facie showing of obviousness)を克服するのに充分ではないとしました。ロシュが、150 mgの服用量は、体内における予期せぬ高い生物学的利用能があることを示している一方、生物学的利用能は、効果を見るにあたり直接の基準ではなく、最終的に、当業者が生物学的利用能データの考慮の前に抱いていた「成功の合理的期待」(reasonable expectation of success)を変えるものではありませんでした。 

虚偽広告主張において原告適格を判断するための新規テスト

米国最高裁判所は、15 U.S.C. §1125(a)中のランハム法第43(a)条に基づき提出された虚偽広告主張において原告適格を評価するための新規手引きを記載しました。2014年3月25日、Lexmark Int’l, Inc. v. Static Control Components, Inc.事件についての全員一致の判決では、最高裁判所は、Associated Gen. Contractors of Cal., Inc. v. Carpenters事件、459 U.S. 519 (1983)の多要素釣合いテスト、もしくは第六巡回控訴裁判所が地方裁判所の判決を検討する際に適用した直接競合者テストを採用することを拒否しました。その代わり、最高裁判所は、(1) 原告の利益が、制定法が意図とした「利益の領域」に入るかどうか、また(2) 被告の広告による詐欺が原告の経済的損害もしくは評判を傷つけたことから発生した損害を近因したかどうかを検討する新規テストを採用しました。